同人 【d_713027】ファイトイン鬼ヶ島!外伝?-本当の‘男’に…!?ふたなりヤ〇ト編-【Mokusa】
鬼ヶ島の夜は冷えていた。和の国の冬を思わせる、芯まで染みるような寒さだ。ヤマトは一人、月を仰いでいた。胸の内にあるのは、いつもの言葉――「僕は、おでんだ」。父に与えられた名でも、血でもない。処刑される間際まで笑っていた男の背中に、心ごと焼き付けられた名だ。(……おでんは、‘男’だ)‘彼’はこれまで、何度も言ってきた。自分に言い聞かせるように、世界に叩きつけるように。その夜、違和感は突然やってきた。最初は気のせいだと思った。疲労か、寒さか――あるいは高鳴りすぎた心臓のせいだと。だが確かな‘変化’は、否応なく現実を突きつけてくる。「え、ち、ちょっ、待ッ……!!」焦りに声が裏返る。いつの間にか股間に生えていた男性器を見て、ヤマトは一瞬言葉を失った。(――じょ、冗談だろ?)これまで自分が口にしてきた‘覚悟’。ならばと世界のほうから、そのまま返されてしまったかのようだった。頭が、真っ白になる。心臓が、早鐘を打つ。「ちが……いや、違わなくも、ないのか……?」否定しようとして、言葉が続かない。僕は、おでんだ。そのおでんは、本当の男だ。そう言い続けてきたのは、自分自身なのだから。「……まあ、僕がおでんだって言い続けた結果なら」しばらく呆然としたあと、ヤマトは大きく息を吐いた。混乱は消えない。けれど、逃げる気も起きなかった。むしろ肩をすくめて、苦笑する。焦りの奥から、奇妙な納得感がじわじわと湧いてくる。「――今さら、驚くほうが遅いか……そうか、そうだな!」月明かりの下、ヤマトは背筋を伸ばした。揺らいだのは一瞬だけ。心の芯にあるものは、最初から変わっていない。名乗りたい名を名乗り、憧れた背中を追い続ける。「そうだ。僕は――おでんだ!!」言葉にすると、不思議と落ち着いた。世界がどう変わろうと、自分の歩き方は決まっている。焦って、騒いで、最後には開き直る。それもまた、‘おでんらしさ’なのだろう。ヤマトは笑い、夜の冷気を胸いっぱいに吸い込んだ。前に進む準備は、もうできていた。それどころか胸は高鳴り、未知への期待感で満たされていたのである。■収録内容:基本CG21枚・差分込み合計101枚収録(差分対応によりエフェクトの有無等の切り替えが可能です)■参考解像度:XGA準拠(モニタ閲覧サイズ)